Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 フランスのよしなしごとを徒然なるままに

AMAZING !! STREET PERFORMER BATTLES NYPD COP TO STREET PERFORM

 昨日、パリ市警のローラーブレード隊について書いた。小学校のころ、ローラーはいて歌って踊る某人気アイドル歌手がいたが、それを遥かにしのぐカッコよさであると認めた話である。NYやロンドンにいるんだろうか、とクエスチョンマークを呈したものの、深く突っ込むポイントでないため、その程度でさらっと留めた。

 今日、5月8日はフランスの祝日だ。学校がないので、ここぞとばかりに朝から書き物をして机の前で過ごす。息抜きにニューヨークにあるBDC(ブロード・ウエイ・ダンスセンター)の動画をチェックしようと、ユーチューブで色んな先生のクラスやらshowを見ていたら、意図せず、おもしろ動画に辿り着いてしまった。

 NY市警はNYPDという。私にとって『パリ』『警察』ときたら、ジャヴェール警部で(注:レ・ミゼラブル)決まりなのだけれど、24時間犯罪都市NYでは、ジャヴェールさんみたいに静かに河岸に佇み、世の中の公正とは、法とは、そして我が生とは何ぞやと、気難しい顔をして問うている余裕はない。それを考えようと、眉でもひそめた瞬間、一発背後からズドン、でさよなら。短期観光でしか行ったことはないから、NYにはNYに住む者にしか分からない怖さがあるだろう。NYPDの立場も権力も、“それなりの”ものなんじゃないか。色んな意味において。

 問題の映像は、先月アップされたばかり。状況としては若者のダンス集会を巡回に来たポリス、という感じ。男性パフォーマーのストリートダンスが繰り広げられており周囲の観客はヒューヒュー言いながら見入っている。バック転もガシガシ決める。このレベルではNYのストリートでは普通かも知れない。でも身体能力は普通の人に比べたら遥かに高い。そこへ紺色の制服を着たポリスの男性が、いきなり飛び入り参加する。腰のじゃらじゃらに手をかけ何かを抜き取って、同僚が預かる、みたいなシーンが一瞬あるので銃なんだろう。でこのポリス、それほど若いとも見えず、重そうな制服のせいもあってスタイルがずば抜けてよいというわけでもない。でも踊りだしたら凄い。前の若者ですら拍手しながら見つめている。切れのよさ、スピーディーな回転技、インドのヨガ行者もビックリの足技が続く。観客一同、驚きの声は止まらない。若者、すっかり火が付いたとみえる。マジになってポリスに応戦する。バック転3回、一段と難易度の高い技を続けざまに決めまくる。ポリス、再び登場。見たことのないような裏技を披露し、ウエーブ、ウエーブ、3連続~で決め。ビデオ撮影者の『Oh~,my God~~・・・ワーオ』という声がしっかり聴けて、もうこのあたりから、驚きを通り越して笑いが止まらなくなってくる。一応『バトル』形式であったらしく、最後ボクサーの試合終了時みたいに判定員が二人、いや3人、思いっきりポリスの片腕を上げる。まるで『You WIN!』と言うように。若者ですらポリスに絶賛の拍手を送りハイタッチ。

 AMAZING !! STREET PERFORMER BATTLES NYPD COP TO STREET PERFORM

でyou tube検索をしてみて下さい。張り付けると若干支障が(なんの支障だ?)あるかもと、ちょっとビビっている。関連映像で更なるNYのポリスたちの絶対的ツワモノぶりを見つけてしまった。何と「踊る交通整備隊」である。いたらさぞ楽しいとは思うけれど本当に居た。しかもちょっとやそっと、職務中に暇だから腰を振ってみたとか、歌いながらステップを踏んでみたといったレベルじゃない。ダンサーである。うっかり運転手が見入って事故でも起きないといいんだけど。

 Dancing female NYCD;traffic COP などで検索すると出てくる。場所はマンハッタンの交通量バリバリの、世界でも相当きっついんじゃないかという交通整理現場である。鼻歌がてらじゃ、まともに仕事はこなせないだろう。女性の交通整備警察隊員が白い手袋をしながら・・・確かに踊っている。車を止め、歩行者を通し、大型バスを行かせたあとは、こっちの通りを解除して・・・、交差点のど真ん中で、大胆に腰を振り、腕のスナップを利かせ、ノリノリで、時にはポーズを決めている。別の場所、別の女性警察隊員。こちらはウーピーゴールドバーグばりの、パンチのきいた女性である。交差点のど真ん中に立っていただけで眠気も吹っ飛びそうなのに「ハイあんた行って!」「止まれっていってんのさ、坊や!」という声すら聞こえそうな踊りが繰り広げられる。ダンスは雄弁だ。地響きまで画面から伝わってくる。

 ダンスバトルにしろ、交通整備隊にしろ、NYPDに雇われた本物のダンサーが警察の衣装を借りて立ってるだけだった、なんてこともないとは言えない。何と言ってもブロードウエイの街だしね。あるいは彼らは本当に警官で、警察学校の中にダンス部隊があって(ローラーブレードのように)そこで選抜メンバーが特訓を受ける。あるいは各自レッスン代は教育訓練費として全額補助が出るとか・・・妄想は続く。

 最後に留めを一発。ボストン・グローブ紙(米国)のウエブ版の動画で、カメラワーク秀逸。踊る交通警備官、トニー・ルポールさん(64)今だ現役、という2011年の記事で、観客のコメントも子供から大人まで上手に取り入れる。ちなみにカテゴライズされていたのは『ニュースと政治』の分野だった、さすが米国。

 世界には、あらゆる“景観”があるということだ。

  
Dancing Cop, still traffic jamming at 64 - YouTube