Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 フランスのよしなしごとを徒然なるままに

Dancing Longer, Dancing Stronger(ダンスを続けたいなら、たくましくあれ)

「ダンスで使う筋肉は、ダンスでしか鍛えられない」(バレエ然り)という暗黙の了解のもと、筋力トレーニングがおろそかにされてきたのは既に、過去の話。

f:id:kotorio:20140813044608j:plain(筋肉美で周知のポリーナ・セミオノワ)

 英国でロイヤルの女王だったDarcey Bussell:ダーシー・バッセル様が38歳で退団後、ピラティスの本など出したり「コア:体幹」を強調し始めて、爆発的に広がった感がある。ちなみに現在、彼女の名前で検索をかけると、5月の女神だのとワードが出てくる。なんと彼女は新配合の、大輪の赤いイングリッシュ・ローズ(薔薇)に名づけられていた。まだ若く(1969年生まれ、ギエムより年下だぞ!)生きてるのに(笑)・・・ダイアナ妃か?この華やかなバラ、強く病気になりにくい特性があるという(笑)

 いやいや彼女の話ではなくて、今日は、ダンサーとトレーニングについて。

 もはや欧州ダンス界では、専属のプロトレーナーについて、舞台生活のみでは得られない筋肉、スタミナの増強を図ることは常識。特にバレリーナにとって、バーレッスンやリハの日々が続くと、運動強度が足りない。身体を酷使する職業だからこそ、舞台・レッスン以外の場所で「正しいトレーニング」を行うことによって(1):予想される怪我の予防に繋げたり(2):疲労個所の緩和に役立つ筋肉を意識的に補強する。長く踊れるダンサーでありたければ、強靭なダンサーたれ。これが主流。またプロであれば、怪我はどうしたって否めないだろう。そのときに初めて慌てるのでなく、体も脳も、すべきことを理解していれば、回復も早い。

 例として、アリーナ・コジョカルが首の怪我などで踊れない時期を繰り返し、その間に始めた最強筋トレがロイヤル内で広まったようだ。

 彼女のトレ動画があるというのでダンサー、とか、コア、とか、トレーニング、で検索をかけていたら、なんとナショナルバレエ・オブ・カナダのKeichi Hirano (平野啓一)さんの映像に辿り着いた。この手の動画はお手本さながら、たいてい延々と自らのメソッドを語って10分、20分とDVD並みが多いのに、あっさり1分、あっという間の「濃さ」なのでぜひワンクリック!サイド、ツイストから始まってコアといいつつ強烈に背筋、大腿筋まで鍛えまくっている。彼、バレエダンサーって、みんな知って見てる?(笑)


Take a look at the core workout of a male ballet ...

 注目すべきは、日本では「使っちゃダメ、太くなるから!」(特に女子は!!)と言われ続けてきたアウターマッスル系をがんがん鍛えている点。(4)のチンアップは、さすがダンサー筋、強く、美しすぎる・・・。ジムで猿状態にぶら下がっている人、多いけど・・・。あと(5)のサスペンションをつかったシッティング姿勢からの斜め懸垂、これ、たぶん私やろうとすると腰を痛めるんだな――。つまりこの一週間のコンテからの故障にしても、あるようでない、鍛えていたようで足りない、当方の腹筋問題が露呈しているわけだ。

 それにしても、Hirano氏、乱れないフォームが凄い。

 以下は、今年ローザンヌコンクールで発表された「ダンスとスポーツ科学」のドキュメンタリー映像。出てくる人々が豪華。大晦日か?と思うぐらい。


Dance and Sports Science - Gjuum - YouTube

 スポーツ科学者が、バレエカンパニーとスポーツ科学との関係について現場証言をまとめている。まずはロイヤル芸術監督、医療監督、フレデリッコ・ボネッリなどの大型スターダンサーのご意見&トレーニング風景。フォーサイスの所からはご本人とステファニーさんか?ENBからは2大・大御所、監督のタマラ・ロホがこの動画のほぼ確信部を引き受け、映像でみると少女のようなアリーナ・コジョカルも、経験を語る。あれ、何故か見慣れた顔。。。パリ・オペラ座のマチアス・エイマン君まで!友情出演か!?(笑)

 全体的に見て、これまでだったら私も「要らないよ、ダンサーにそこまでは」と思っていた、例えばショルダー(肩)などの細かな筋肉、(それをやることで私は18歳ごろ、器具によって手首を痛めた過去)や、前述した「絶対使うな系」の大腿部強化が目立つ。海外ダンサー特有の、ダイナミックな跳躍、回転はここからきている?

 ロホが言っているのは、スポーツ科学とのコラボでどれだけダンサーが学べるか、その重要性。ダンサーにはパワーも、スタミナも必要、取り入れ、常に変化するのは当然、ということ。日本と違うのは、スポーツ科学専属のトレーナーが各バレエ団にいるという現状そのものに他ならないが、この手の現場から情報発信がなされていることにまず驚き、さらに、海外ダンサーたちは「踊りつづけるために」、ストイックなまでに、強く、たくましく、個を鍛えている、その状況を理解しておくことが重要だと思う。