Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 フランスのよしなしごとを徒然なるままに

グラナダ第4シリーズ Silver Blaze 白銀号事件 

 56ある短編小説のうち13番目に発表された作品。「The Memoirs of Sherlock Holmes」(ホームズの思い出)に収録。通称「吠えなかった犬」事件(笑)ドイル自身はあまり競馬そのものには詳しくなかったんじゃ?

 正典の出だしはこんな感じ。“I AM afraid, Watson, that I shall have to go,” said Holmes as we sat down together to our breakfast one morning.(自分訳)ある朝、朝食を取るため一緒に座ったら「残念だがワトソン君、行かなければならなくなりそうだ」とホームズが言った。

 という訳で、舞台はダートムーアへ。パスカヴィルと同じかな。話は銀星号という人気の競走馬が厩舎からいなくなり、外で調教師が死亡。特殊な手術メスが落ちていた、というもの。

参考: "The Return of Sherlock Holmes" Silver Blaze (TV Episode 1988) - IMDb

Silver Blaze 出典:由緒正しき英国ホームズ協会より

 

File:Granada-silv-15-Silver-Blaze.jpg  

こちらはフランスのホームズ協会のサイトThe Adventure of Silver Blaze - The Conan Doyle Encyclopedia から。ログインすると更なるマニアック情報が得られるので、当然入会済み(笑)。

 グラナダ版は邦訳は「銀星号」だったかな?確か新潮の延原氏訳では「白銀号事件」。シルバー「blaze」は「眉間から鼻先にかけて白い斑がある」ことで、馬名はこの「大流星」に由来するらしい。これも事件のトリックの一つなんだけれど種明かし時に19話『もう一つの顔』の時と同じ行為が見られるのでおおっ、と笑いが止まらない。

 *行きの列車の中でスポーツ新聞を読む二人。ピンクペーパーだけど駅などで買った大衆紙ってことなのかな。このへん当時の英国事情詳しくなくてすみません。なんか並んで仲よさげなショット。

*「この仮定に基づいて調べてみよう」スコットランドヤードで最近めきめき頭角を現しているグレゴリー警部も「想像力こそ彼に欠けている資質なんだ」とホームズに一括される。あてずっぽうはダメ。でも論理から導き出した「仮定」を「想像力」を使って実証しなければ意味がない。

粗野で/臆病で/ずるがしこい――3拍子揃ったやつだ、と犯人を。まあ古今東西、悪人の三要素ともいえますな。

*行きの列車でのハットは 「deerstalker hat:鹿打ち帽」(頭の上で耳当てを止めるヤツね)だったのに、競馬場では見事トップハットになっていました。素晴らしきかな、紳士。

 最後はパイプじゃなくてお出かけ携帯用紙巻きタバコでしたね。銀製のシガレットケースから出す仕草もスマートです。それから2世紀後にはタバコのタの字でぎょっとされちゃう世の中になってしまいましたが、当時は食事中だろうがなんだろうが紳士のたしなみだったんだよねぇ。