Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 フランスのよしなしごとを徒然なるままに

グラナダ版ホームズ・第4シリーズ第25話:The Adventure of the Bruce-Partington Plans『ブルースパーティントン設計書』

 The Adventure of the Bruce-Partington Plans、56ある短編小説のうち39番目。『最後の挨拶』収録。殺人~国家文書紛失スパイ事件。兄のマイクロフト『ギリシャ語通訳』に引き続き再び登場。舞台は「霧の立ち込めるロンドン」だ。

「こういう日にこそ虎がジャングルに出没するようにロンドンを歩き回れるのだ。いよいよ踊りかかるまでは誰にも見られないで襲われてはじめて被害者だけが知る。あの暗殺の横行するラテンの国に霧の日がなくて幸せだと思うね!」

 

 国家の一大機密がらみとあって正典ではラストに報酬有。「ある高貴な貴婦人から」エメラルドのタイピンをもらうのだが、これはバッキンガム・宮殿のヴィクトリア女王。グラナダ版ではそのシーンはなく、マイクロフトが二人に牡蠣をおごってくれるという微笑ましさ(笑)。

 ところで正典ですっごい昔から気になっていたのが、ホームズがイタリアンレストランにワトソンを呼び出して「何か食べるかい?キュラソーコーヒーを付き合え。この店の葉巻も悪くないよ」というセリフ。この「キュラソー・コーヒー」ってなんだ?。場所はケンジントン区、グロスター通りのゴルディニレストランで食事中、とある。まさかオーストリアの女帝マリアテレジアが好んだ、ホイップクリーム盛りだくさん+オレンジリキュールのデザートコーヒーの事じゃ有るまい、とぎょっとした。

ホワイトキュラソーコーヒー 霧のロンドン、欧州きってのキレ者コンサル探偵の男と相棒の紳士二人、そんなもの口にしてたらイメージ台無しだ・・・。で躍起になって色々調べ、結論として上記悪夢を回避する最終案はこちら↓

普通の珈琲にグランマルニエ(オレンジキュラソー)を浸したシンプルなアルコール入りコーヒー。Wiki先生によると『フランスやイギリスでは、ホットコーヒーにグラン・マルニエを入れて飲むということが、しばしば行われる』とある。

 これなら紳士二人飲んでいても違和感はない。

 ここまで下書きしてグラナダ版ノーカット52分を視聴。問題の個所は36分前後。

*“グロスター通りのゴルディニレストラン”のイメージが大違いだった。赤を使ったイタリアっぽく、落ち付きのない感じのぎとぎとした狭苦しい店を想像していたが、なんと店内にはホームズひとり、しかも高級店で瀟洒な造り。ウエイターも丁寧だ。

*セリフが「コーヒーと、キュラソーを」になっていた!つまり上記写真で左側に近い。いよいよ敵陣に乗り込んでいく、となってワトソンも一緒に行くというのが二人の表情のかわしあいだけで語られた後「それでこそ我が友だ」とホームズのセリフになる。このへん映像勝ち。というか、もう役者の二人が神業レベル。で、ワトソンがホームズの後を追って店を出て行こうとした際に注文した「コーヒーとキュラソー」が盆に乗って届くのだけれど、ウエイターのそれからワトソン氏、「気付けに一杯!」とキュラソーのみをくいっ、とひっかけて足早に出ていく。いやあ、正典にはこんな遊びはありませんでしたぜ!

*正典では担当:レストレード警部、グラナダ版:ブラッドストリート警部だった。

*これは立派な「おとり捜査」。現在、英国警察はそちらの方面で先進国という見方もある。当時の法的判断はどうだったのか。ああ、こういうのは調べ出すと・・・

*広告を打った新聞はデイリー・テレグラフ紙。

*度々登場する素敵な食卓風景と英国らしいティーセットにくぎ付け。いやあ紳士たるものどのシーンでも洗練されている・・・。

*ラストの音楽がいい。待ち合わせのレストランの店内BGMかと思わせつつそのままエンディングの音楽へ。最初はバイオリンだがのちフルートが目立つのでホームズものではちょっと意外?と思ったけれど素晴らしい。

 おまけ1:シャーロックホームズ博物館のサイト:クイズが面白く、シャーロキアンの道まっしぐら確実サイト。

THE SHERLOCK HOLMES MUSEUM - THE OFFICIAL HOME OF SHERLOCK HOLMES

 おまけ:聴き比べテーマソング集

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