Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 フランスのよしなしごとを徒然なるままに

SHERLOCK/シャーロック3-3 His last vow 『最後の誓い』感想その5 ラストシーン『東の風が吹く』編

 【82分】残るはあと8分。飛行場のジョンとの別れのシーンは『セリフにしない言葉』が、殆ど一秒ごとに変化するSHの表情のみで語られる。その前にまずはマイクロフト、ガラス張りの部屋(冒頭参考人招致で使っていた会議室か)で外を眺めながら。SHの処分についてかけられている。

マイクロフト: 私の同僚がよく言うように、この国にはしばしば(*1)「a blunt instrument」=鈍器が必要とされますが――時々、短剣が必要となります-ー正確で、後悔など全くしない、無慈悲な(冷たい)刃物が。いつかまた我々がSHを必要とする日が来るでしょう」

左の男:家族間の感傷(センチメンタル)からおっしゃっているのではありますまいね?

マイク: バカな。私は兄弟愛になど流されるわけがない。(*2)the othe one/もうひとり』に何が起こったかご存じでしょう?

MYCROFT: Don’t be absurd. I am not given to outbursts of brotherly compassion. You know what happened to the other one.

 男、顔をしかめて視線を外す。また窓の外を見てマイクロフト

マイク: いずれにせよSHを投獄可能な刑務所など存在しません。投獄すれば毎日騒ぎが起こるでしょう、しかし代替案にはあなたの承認が必要です、スモールウッドさん。(左側のデスクに座っていた)SW「代替案も厳しいものでは?ホームズさん」

MH: 残念ながら、私の弟は殺人者ですから。

 

【考察ポイント1】:a blunt instrument=鈍器。和訳に最初戸惑った箇所だけれどちゃんと辞書にあった『鈍器』(無遠慮な/道具 英辞朗) のちの「短剣」にも象徴される「良心(good conscience)にさいなまれることなく任務遂行が可能な人格」の意味かと。それこそアイリーンが言ってた「アイスマン(氷の男」さん。冷酷・冷静・迅速に極秘任務可能なSHは、当然殺人の対価として考えうる牢獄行きより、実際運転させた方が英国(国益)にとって価値がある、との「氷の」提言。

【考察ポイント2】:to the other one. なるほどこれね。「もう一人の兄弟」説。英国ファンサイト(EX『シャーロックinfo』『マイク兄belive』といった)ではブログや掲示板の書き込みがすごくて(1スレッドに533コメントとか・・全部読んでない)ラストシーンの「あいつ」の再登板も含めて諸説入り乱れています。日本語字幕では「知ってるでしょう、何が起こったか」となっていてこのthe other oneが訳されておらず。one=the other brother、つまり文脈からして「もう一人の兄弟」の存在に触れていると考えるのは間違いないようだ。

 会話文の流れだけで推測可能な部分までだと「もう一人の兄弟」がおり、非常に不幸な目、あるいは状況にあった。兄はそれに関し「氷の男」を貫いた。=ここでは『兄弟の愛を見せなかった』つまりwhat happen の部分も絡めて「死んだ兄またはおととうと」と理解されているケースが多いようだ。

 ここからはファンサイトの「飛ばし」ネタだけれど現段階ではその「炎上」内容は大きく3つぐらいに分けられるんじゃないか。1)マイク&SHにはさらに「兄」(マイクの上)がおり、死去あるいは事情で幽閉されている  2)SHに小さい頃亡くなった「妹」がいる 3)このあと出てくる「あいつ」がらみ。あいつが実は兄弟だった、あるいはあいつに双子の兄弟がいる、などなど。1と2に関してはなんと名前まで飛び交っている。これ以上はシリーズ4の展開予測版の記事で、再度取り上げることにして。

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【飛行場、別れのシーン】ジェット機からはSH、兄、付き人が。反対側に到着した車からはジョンとメアリーが。

SH : You will look after him for me, won’t you? 僕のためジョンを頼む

メアリー:Don’t worry. I’ll keep him in trouble.大丈夫よ、ちゃんとトラブルに巻き込ませるから 
SH : That’s my girl. そうこなくっちゃ。

 メアリー、どのツラ下げて・・・って憎々しく思ってたんだけど、ハグしてSHのこの微笑みと「That’s my girl」のセリフを見よ!!Thank you でもGoodでもNow you are talkingでも That's the spirit(どちらも「うん、そうこなくっちゃね」「それでこそ君!」みたいな時に使う)でもいいのにザッツマイガールって言った!このいい方はお家で親が子供をほめる時のいい方(男の子ならthat's my boy!!)だぞ!! シャーロック・・・

SH:(兄に向って)これはジョン・ワトソンと交わす最後の挨拶になりそうだから少し二人きりにしてもらえるかな。

 マイク、メアリ、付き人がジェット機翼わきあたりへ離れる。84分あたりから~

 JO「さて――僕らだけだ」

SH:――――(唐突に)「William Sherlock Scott Holmes」

JO:「何だって?」SH「それが僕のフルネーム。もし子供の名前を探しているのなら」

 ジョンはハハハ、と笑って「確実に、女の子なんだ」SH「ああ、Ok,そうか」

少し二人の間があくのだが、SH、目がきょろきょろして落ちつかない。一瞬、早くも泣き顔になりかけるのだがまだ早いとでも言うようにきゅっとマジ顔に戻って。ジョンは地面に一旦視線を落として、後ろのほうを向いたりしながらこっちもしきりに上半身を動かして。二人は視線を合わせない。合わせるのをお互い避けてるみたいに。

JW : Yeah. Actually, I can’t think of a single thing to say. 
(ああ、えっと正直言って、僕言う事がひとつも思い浮かばない)
SH : No, neither can I. (ああ、僕もだ)シャーロックは眉を上げて、ジョンの足元近くに視線を落として。後ろには乗り込むはずのジェット機が控えている。
JW : The game is over.(ゲームは、終わったんだ)
SH : The game is never over, John. (ゲームに終わりは無いんだ、ジョン)ここでジョンを真っすぐに正面から見据えて―― But there may be some new players now. It’s okay. The East Wind takes us all in the end. これからは新しいプレーヤーが来る。それでいいんだ、僕らはみな、東の風に吹き飛ばされる運命なんだから

Jo「何それ?」SH「子供の頃兄が話してくれた物語。東の風は全てを吹き飛ばし廃墟にしてしまう、恐ろしいものなんだ(ここでちょっと鼻をすすって)価値のないものを地球上から吹き飛ばしてしまう、たいてい僕のことだけど」JO「Nice/いいね」SH「最悪の兄だよね」二人、ちょっと咳払いして笑いあう。 Jo「それでこれからどこへいく?」

SH「東欧で極秘任務」JO「どれぐらい?」SH「6か月。兄はこういうことには正確だから」JO「その後は?」――SH・・・ちょっと答えを保留して目だけ泳がせ・・・「分からない」この顔で――。

*6か月、の答えは、その後『確実に命を落とすだろう』の部分が省略されている。わざとジョンには伝えなかった。でもジョンは、さっきSHが兄に言った「これがジョンとの最後の会話になるから」やSHの態度から、たぶん理解している。だってジョンだものいつもはSHのため使ってきた独占フレーズだが、一度だけ、ジョンのため使わせて欲しい(By筆者)

JO「そっか」といいながら、また後ろをむいてしまう。そんなジョンを見つめつつ

SH : John, there’s something ... I should say. I’ve meant to say always and then never have. Since it’s unlikely we’ll ever meet again, I might as well say it now.  

 ジョン、言わなきゃいけないことがある。ずっと言おうと思っていたことだ。
 僕達はもう一生会えないから、今いっておく。

SH:Sherlock is actually a girl’s name「シャーロック」は実は女の子の名前だ
JW : It’s not.――いや違うだろ(ジョン、吹きだしながら)
SH : It was worth a try. (字幕が「バレたか」になっていたけれど。1:worth a tryは「試す価値がある」⇒いいだろやってみてよ、ぐらいのほうがいいんじゃないか 2:あるいは別案。このジョークを言うこと自体が「Try」だったと考えると「ハハ、言ってみるだけの価値はあったな」(was:過去形)

⇒2案が妥当か。SHはここ、口ではあんなことを言って、マジな別れにしたくなかったんじゃないかな。前回は涙の別れだった(自殺偽装)でも今回はホントに正真正銘の『最後』になるから、笑っているジョンをどうしてもみたかった。プラス、ある意味自身も涙を見せないためのSHのちょっとした逃げ工作。

JW : We’re not naming our daughter after you. 君にちなんで娘に名前を付けるつもりはないよ(⇒SHの帰りを信じて、待っているからね)
SH : I think it could work. いいと思うけど。<二人共、笑っていながら泣きだしそう> 

SH、握手の手を差し伸べる時、さっと右の手袋を外した。いつも外さないのに。

SH:To the very best of times, John. 一緒に過ごせて楽しかったよ、ジョン

その言葉を聞いた後で、ジョンはその手を、がしっと小さく音を鳴らして掴む。

 ――いやあラストのサウンドミュージックも「大河ドラマ」風、しんみり余韻を残す素晴らしい曲でした。。。。。(涙)さあいつものエンディングテーマが・・・

(87分)←あと2分残ってますけど・・・

 サンドストリーム、全英国中をテレビジャックされたようですが・・・サッカーの試合を見ていたレストレード、ハドソンさん、モリー・・・みんな口を開けて。スモールウッド議員「首相には連絡した?あと、マイクロフトには」

 飛行場で連絡を受けたマイク兄。そのセリフから何か読みとれないかと思ったが――マイク兄:「可能なわけがない。絶対に不可能だ」としか言っていない。次回S4に繋がるヒントの単語はどこにも・・・

「Sir, it's your brother」お兄様からです

SH:マイクロフト?

マイク : Hello, little brother. How is the exile going?やあ弟よ、空の旅はどんな調子だ?
SH : I’ve only been gone four minutes. 離陸からたったの4分だぞ
MH : Well, I certainly hope you’ve learned your lesson. As it turns out, you’re needed.
 これで何かを学んでくれたかな?結局のところお前は必要とされているんだ

 <さあ、いつもの音楽の予感・・・>
SH : Oh, for God’s sake. Make up your mind. Who needs me this time?
(まったく、はっきりしろよ。今度は誰が僕を必要としてるんだ。
マイク: England.(英国だ)
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ジョン:if he is ... he’d better wrap up warm. There’s an East Wind coming. 戻ってくるなら・・・あったかいかっこをしないとまずいぞ。東の風が吹くことになっているからな。

 ーーーMISS ME? 待っててくれた?       

   ★★シリーズ3-3全5回/記事終了!いやあ・・・次回以降、全編を振り返りながら、改めて【BBCシャーロック徹底検証編】に移ります。

考察ポイント:ドラマ総括/残された課題(未回収テーマの検討)S4予測/これまでの主要登場人物分析/兄弟関係のおさらい/ジョンとの関係性/モリアーティー考/シャーロック人格形成及びドラマに見る成長過程・・・等々