Entre la poire et le fromage 

『洋ナシとチーズの間』 フランスのよしなしごとを徒然なるままに

美食の達人 第4回 フレンチ アラン・デュカス氏

フランス料理界の巨匠、アラン・デュカス氏

「自然食」にグローバリズム。フランス料理の未来とはーーー。

16歳で料理人となり、33歳でモナコの「ル・ルイ・キヤーンズ」に料理長として就任、

33ヶ月で三ツ星を獲得。

以降、フランス料理界のトップを走り続けるアラン・デュカス氏の今をお伝えします。

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料理人の枠を超えて世界に20を超えるレストランを経営するアラン・デュカス氏。

クリエイター、実業家としても名をはせ、右に出るものはいません。

日本におけるフランス料理を気軽に楽しめる食のイベント

ダイナースクラブ フランス レストランウィーク2017」の元となった

「Tous au Restaurant」の提案者の一人でもあります。

――「ナチュラリテ」(自然)を提唱するようになりましたね。

パリのお店【アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ】では肉を出さず、

野菜、魚、穀物を中心とした料理に変わっています。

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ナチュラリテ」はまだ開始して間も無く、根付いていない状態です。

ナチュラリテ」とは地元で採れる野菜、穀物を中心とした食材を使い、

脂質と砂糖、塩味を抑えて、動物性たんぱく質を控えるという考え方です。

健康にはもちろん、環境にも優しい。

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海産物であれば、その旬にも十分関心を持たなければならないし、

資源を枯渇させないサスティナブルな漁業を考えなければいけません。

その考え方は「トレ・ボン!日本のテロワール」というフランスレストランウィークのテーマにも通じます。

日本では、生産者や食材業界の方々の情熱にとても感銘をうけています。

そういう方々の協力なしにシェフは料理を作ることができません。

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「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」の一品。「ナチュラリテ」をテーマに魚と野菜だけでコースを構成

――「日本のテロワール」で印象に残っていることは?
 

日本の野菜には情熱を感じます。例えば、大根。きっと私たちフランス人にとっての

蕪のように庶民的なものでしょうが、大根は好きです。

京都の「祇園さゝ木」で食べた大根は、完璧だった。大根は目立たない、

控えめな存在の野菜だけれど、だからこそ土地の味がする。

土地の味とは“京都で食べている”、と実感できるということ。

東京で食べるとまた違う味がする、ということです。

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そのテロワールを活かすには、食材、料理人の双方が必要です。【祇園さゝ木】で食べた大根の料理は、完璧に取られただし、ビーフと一緒に出てきた白みそのソースも素晴らしかったですが、それだけでは成り立たない。

どう野菜が育てられたのか、それをどう料理するのか、どう盛り付けするのか。

野菜を育てた人、それを提供する料理人を含めたコンビネーションが大切です。

――日本におけるフランス料理レストランに足を運ばれるなか、今の日本のフランス料理の変化は感じますか?
 それはもちろん感じます。フランスと日本が近くなっている。私たちフランス人は和食を、そして日本人はフランス料理を知ろうとしている。その歩み寄りで近づいていく進化がもっとも面白い。若い日本人の料理人がフランスに来て、フランスでも日本でもない料理がつくられている。技術と食材が調和し、ハーモニーを生み出す。

――日本とフランスだけではなく、世界中でジャンルを超えた食のグローバル化が進んでいることについては?
 国を超えて、相互の好奇心が料理のレベルを高めている。お互いがお互いの料理に興味を持ち、料理の個性が生まれてくる。

私は料理人個人の食材の組み合わせや発想に興味を惹かれます。グローバル化は進化しているということ。新しいものが生まれる、ポジティブなできごとだと思います。

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(C)Pierre Monetta 【アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ】の店内

――デュカス氏がオススメするお店のポイントは?
 シンプルで、自分のレストランとは異なった魅力があるところ。または、自分のレストランとは異なった傾向があるところ、とも言えるでしょうか。

パリでは私が選んだ好きなレストランのガイドブック『J’aime Paris アラン・デュカスのおいしいパリ』(朝日新聞出版)もあります。

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――デュカス氏がオススメする東京のレストランは?

「オテル・ドゥ・ミクニ」。古典的な基礎がしっかりありながら、

コンテンポラリーな料理。フランスに行かなくても、フランスらしさに出会えます。

【kotorioからのひとこと】

生涯現役、を貫くであろうデュカス氏。子どもたちへの食を通した教育にも熱心で、

ますます、世界にその名を轟かせています。

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最近ではデュカス・ショコラ(デュカス氏監修のチョコレート専門店)が日本上陸したことでも話題になりました。

その意欲、行動力、日本の若者よ、疲れている場合ではありませんよ。

最後に最近徒然なるままにおもふこと。

「料理人」って、マスコミに持ち上げられすぎてしまっている感があります。

「料理人」だから偉いわけではない、「料理人」だから、きつい労働に耐えているわけではない。どんな業界でも同じではないかなあ。もっと、死ぬ気で頑張っている人たちだって、たくさんいるんだってこと。

自分たち料理の世界だけが特別、とふんぞりかえってしまうフランスの日本人シェフ、

若者たちをみてきた中で、時々、思うことです。

もちろん、夢と目標を持ってぶれずに頑張っている若者もたくさんいて、

そんな人たちは顔と目を見るだけでわかりますから、応援したい。

どんな世界だろうと、一生懸命仕事をするからその姿は美しいんだと私は信じています。